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岐阜県の社会保険労務士事務所の飛騨屋社労士事務所です。
労働契約法は、労働契約の締結等の際に必要になる知識ですので、ポイント等ご紹介致します。
就業形態の多様化、個別労働関係紛争の増加等に対応し、個別の労働者及び使用者の労働関係が良好なものとなるようにルールを整えることが目的です。
大きく分けると以下4つの事を定めています。
労働者と使用者では力関係に差が出てしまう事があるため、契約法3条に基本ルールが定められています。
(労働契約の原則)
第三条 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
2 労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
3 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
4 労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
5 労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。
簡単にまとめると、「平等でつり合いのとれた契約で、お互い契約した事は守っていこうね。」の様な事が記載されています。
労働契約の変更には2種類あります。
1.従業員と会社が合意すれば、契約を変更できます(第8条)
2.就業規則での変更
使用者が一方的に就業規則を変更しても、労働者の不利益に労働条件を変更することはできません。(第9条)
使用者が、就業規則の変更によって労働条件を変更する場合には、次のことが必要です。(第10条)
① その変更が、以下の事情などに照らして合理的であること。
・ 労働者の受ける不利益の程度
・ 労働条件の変更の必要性
・ 変更後の就業規則の内容の相当性
・ 労働組合等との交渉の状況
② 労働者に変更後の就業規則を周知させること。
就業規則での変更は原則として許されないという判例も在りますのでご注意ください。
出向・懲戒や解雇については従業員に与える影響が大きく、契約法に権利濫用はダメと定められています。
(出向)
第十四条 使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。
(懲戒)
第十五条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。
(解雇)
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
16条の文面は良く聞きますが、どういった要件なのでしょうか。
労働者の能力不足や、義務違反、経営上の必要性などの理由になります。
個々の労働者の事情や、解雇回避努力をしているか等の要件になります。
解雇で問題になり、裁判まで行った場合は弁護士の方の領域になりますので、案件ごとの個別判断といった形になります。
有期契約については「契約終了まで解雇できません」(17条1項)「有期契約の期間を必要以上に細かくしないよう配慮してください」(17条2項)があります。
有期労働契約について3つのルールが追加されました。
1.無期契約への転換
2.「雇止め法理」の法定化
3.不合理な労働条件の禁止
同一の使用者との間で、通算5年を超えて更新された場合は、労働者の申し込みにより、無期労働契約に転換します。
正社員に変更する訳ではないので、契約内容は有期契約時と同条件になります。
雇止め法理が一番身近な問題になるかと思います。
有期労働契約は、使用者が更新を拒否した時は、契約期間満了により雇用が終了します。対象となる契約は以下いずれかに該当する契約が対象になります。
①過去に反復して更新された有期契約で、雇止めが無期契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの
②労働者において有期労働契約の契約期間の満了時に、有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるもの
同一の会社内で、有期契約労働者と、無期契約労働者との間で期間の定めがある事によって、不合理に労働条件を相違させる事を禁止するルールです。
こちらに関してはハマキョウレックス事件での争点となっておりますので、不合理とされたもの、されなかったものが以下になります。
労働者と使用者で契約を結ぶ際のルールが定められています。契約書を作成する際のチェックをして欲しい等の要望がありましたら、飛騨屋社労士事務所までご連絡下さい。